尚冨の立川三昧

連載開始にあたって

 立川流彫刻研究所は、江戸時代後期を代表する宮彫り「立川流」の伝統を伝承・再興するために組織された団体です。
 現代人はゴッホやピカソ・ロダンは知っていても立川流についてはその存在すら知りません。西欧文化を輸入し始めて以降、宮彫りは職人技の伝統工芸と位置付けられ、「芸術」「美術」とは捉えられてこなかったからです。
 しかし考えてみれば、古来より彫刻というのは絵画とともに日本人にとっての数少ない芸術表現であったわけですし、幕府の鎖国政策によって外国文化の影響を受けず日本独自の文化が花開いた江戸時代、その中で宮彫りは日本人の「血」で練り上げられ、最も日本らしい高度な文化、芸術へと成長していったのではないでしょうか。
 当時いくつかあった宮彫りの流派の中でも特に芸術的に優れている立川流、その魅力や価値を一人でも多くの方々に正しく理解していただくことは、当研究所の最も大きな使命であると考えています。

 なお、当ホームページでは「諏訪立川流概論」というコーナーで、主に諏訪立川流の誕生から完成までの歴史をざっとご紹介しています。しかし立川流彫刻を本当に理解するためには、こうした歴史的事実だけでなく「美術」「技術」「学術」の面から幅広いアプローチが必要だと考えています。
 そういうわけで、今後不定期ではありますが、月に2回程度、毎回テーマを変えて、人物・作風・題材・技法・道具 等々おもいつくままに立川流の魅力をお伝えしていこうと思っています。題して「尚冨の立川三昧」!!
皆さん、どんどんアクセスしてご感想などお寄せください。

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