尚冨の立川三昧

第5回 豊川稲荷 − その3

 この再現彫刻は、研究作品ということで、立川流の貴重な彩色の資料として保存していこうと思いました。
 半田の博物館にも展示をしていましたが、今後の立川の伝承のためにも、ふさわしい環境で保存していただいた方がよいと考えました。そこで昨年、豊川稲荷さんの方へ、「この作品は豊川さんの方へ奉納したい。」と申し出たところ、快くお受け頂きまして、寺寳館に展示をして頂くことになりました。
 寺寳館というのは、豊川さんの博物館・美術館にあたるものでして、非常に管理がしっかりされています。本物の本殿厨子があって、その傍らにその資料として保存されるのが理想的かなと思っておりましたので、ありがたく思いました。
 もう一つ付け加えますと、私の身内の日展画家でありました服部有恒の作品もこの寺寳館の館蔵品として入っておりましたので、そこに並んで展示をして頂くという事は夢でもありました。そうした二つの意味がありました。
 昨年平成13年12月中旬に、受け渡し式という事になりました。後援会の山家会長をはじめ、研究所、後援会それぞれ役員、総勢7名でその受け渡し式にのぞみました。その式におきましては、豊川閣の福山締法方丈さまにも謁見できまして、このうえない幸せを感じました。さすがに福山さまは曹洞宗の中でも重鎮であられる方でして、お会いするだけで、自然に頭が下がるような、気品と風格を持ち合わせておられる方でした。私も他の者も感激をして、帰ってきました。
 いよいよ平成14年2月16日から豊川閣寺寳館の方で展示が始まりました。みなさんも豊川稲荷へお参りに行かれましたら、ぜひとも寺寳館へ足をお運び頂きたいと思います。扉一枚の作品なのですが、作品から厨子全体を想像しますと、これは空恐ろしい建造物だったのだなと感じます。その時の費用も随分かかったでしょう。見事な出来映えだったのだろうと思います。まさに日本画が立体的になって、より表現力を増した作品だと思います。ぜひご覧下さい。
写真  左上: 方丈様より感謝状をいただく恒祥  右下: 「鳳凰」と福山締法方丈様
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