尚冨の立川三昧

第9回 米国での立川流彫刻−その2

 そうした中で平成13年度にアメリカ・ラスベガス美術館で開かれました「Asian Art Now 2001」(現代アジア美術展)というものに応募をしました。推薦制の応募ですので、それなりの先生に推薦していただかなければ応募ができなかったわけですが、私の場合は斎藤吾朗先生に推薦をしていただきました。

 ここで少し斎藤吾朗先生の紹介をさせていただきたいと思います。
 斎藤吾朗先生は、日本人で初めて、パリのルーブル美術館のモナリザの模写を許された方です。非常に個性的で魅力ある絵画を描かれる方ですが、人間的にもとてもすばらしい方で、尊敬する方のひとりだと思っています。
その斎藤先生の紹介でこの展覧会に応募する事になったわけですが、この時は彫刻作品二点という規定がありました。時間にあまり余裕がありませんでしたので、じっくり取り組める物という具合にはいきませんでしたが、一応、二つの作品を作り上げました。
 一つは以前から私のレパートリーのひとつとして持っておりました「麒麟」(雲の上に勇躍する麒麟)です。もう一つは「武将・HANKAI」という人物像を作りました。私は立川流の本来すばらしさは人物像にあると思っておりますので、人物像は絶対にかかせないという気持ちでおりました。この二点を完成させまして応募したわけですが、幸い入選する事ができました。

 このラスベガス美術館の展覧会のように、油絵・日本画等一般の現代美術が中心の展覧会の中で、伝統美術の応募が出来る展覧会は日本国内ではまず存在しないのではないかと思います。それがさすがにアメリカという国でしょうか、国際的な感覚で捉えていただきますと、伝統であろうと現代彫刻であろうとこれは美術に変わりはないわけなのです。そうした観点から見ていただけるので、よりありがたく思いました。これはわれわれ立川流にとっても願ってもないことであったのかもしれません。

写真  右上:現代アジア美術展レセプション会場にて   2001年6月15日
左下:恒祥作品/「麒麟」(雲の上に勇躍する麒麟)、 「武将・HANKAI」
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